2013年12月20日金曜日

「ダメなやつをどうしたらいいか」という営業リーダーへの回答

 

 
 
経営者や営業リーダー向けのセミナーで
 
 
 
リクルート流3H方式 「ほめる はげます 話し合う」(頭文字のHが3つで3H) 
 
 
 
という話をします。
 
 
 
要するに
 
 
 
  部下の結果を責めるよりも、できたことを褒めよう
 
 
 
ということです。
 
 
 
すると、これに違和感を持つリーダーが必ずいるんですね。
 
 
 
「庄司さん、そうは言うけれど、どうしようもない失敗を繰り返すような部下がいるんですよ。
 
そういうやつはどうすればいいんですか?」
 
 
 
という質問をする人が必ずいます。
 
 
 
なぜ、こういう質問をする人が多いのか不思議に思っていました。
 
 
 
先日、333営業塾代表世話人の森川さんと話をしていて、その理由が分かりました。
 
森川さんが「でも、こんなタイプのダメなやつもいるけど、そういうのはどうするの?」
 
としつこく聞いてくるので、分かったんです。
 
 
 
そのようなリーダーは、そもそも大前提が違っていたのです。
 
 
 
 
 
●リーダーの使命は何なのか?
 
 
 
結論を言ってしまうと、リーダーの使命を何と捉えるかに、違いがあったのです。
 
 
 
どんな仕事でもチーム(組織)でやるからには、リーダーの使命はただ1つ。
 
 
 
それは、
 
 
 
力を合わせてチームの目標を達成すること
 
 
 
です。
 
 
 
ところが、わたしのいうことに違和感を持つリーダーは、この大前提を忘れてしまっているか、
 
はじめから意識していないようなんですね。
 
 
 
 
 
●8割を何とかするのがマネジメント
 
 
 
何度言っても同じ失敗をくり返すような人がほんとうにいたとして、
 
そこにパワーをかけるのがリーダーの仕事ではありません。
 
 
 
だって、その人をなんとかすることでチームの目標は達成できるでしょうか?
 
 
 
プロ野球やサッカーの監督のことを考えてみてください。
 
 
 
彼らの仕事は、今いる選手をやりくりしながら、最大限の力を引き出してチームを勝たせることです。
 
 
 
埋もれている選手の才能を引き出して戦力化しようとすることはあっても、
 
ダメな選手につきっきりで、せめて並の選手レベルにしようとするなんてことはないですよね。
 
 
 
あくまで、使命はチームの目標の達成。
 
 
 
部下の育成は、その使命を果たすための手段の一つです。
 
 
 
わたしの感覚では、
 
 
 
  1.どんな環境でも自力で道をつくれる人が1割、
 
  2.ある程度道をつくってあげれば力を発揮できる人が8割、
 
  3.道があっても力を発揮できない人が1割
 
 
 
です。
 
 
 
これも営業マンが大勢いればの話で、わたしは5人から10人前後の営業チームを
 
相手にすることが多いので、その中では1も3もほとんど出会うことはありません。
 
ほとんどが2です。
 
 
 
わたしがお話ししているのは、チームの目標を達成するために
 
 
 
  8割に該当する人たちを、いかに高いレベルで戦力化するか
 
 
 
ということなのです。
 
 
 
そのためには、結果を責めるのではなく、途中でできたことをほめながら次の課題に
 
チャレンジさせるというのは非常に有効な手法なのです。
 
 
 
前述の3H方式「ほめる はげます 話し合う」はその手法を象徴化した言葉です。
 
 
 
●欠点に目が向くのは?
 
 
 
ところが多くのリーダーは営業活動のほとんどを個人まかせにして結果だけを
 
見ているために、おのずと結果の悪い人にばかり目が行きます。
 
 
 
1の人に対しては何もすることがないし、2に対しても明確な指導方法がないので
 
必然的に3の人のことばかりが気になります。
 
 
 
それをくり返しているうちに、あたかもチームの目標がいかないのは
 
「3のやつのせいだ」みたいな思考に陥ってしまうようなのです。
 
 
 
はっきり言います。
 
 
 
チームの目標が達成できないのは「ダメなやつがいるから」ではありません。
 
 
 
2の人たちを高いレベルで戦力化する仕組みと技術がないからです。
 
 
 
その仕組みと技術のことを「マネジメント」と言います。
 
 
 
わたしは、マネジメントは「力を合わせるための技術」だと言っています。
 
 
 
リクルートの営業が強いのは、力を合わせるための技術によって、8割の人たちが
 
次々と戦力化されるからです。
 
 
 
リーダーが、指揮者として、力を合わせるための技術を身につけることで
 
チームは劇的に変化していきます。
 
 
 
リーダーの使命は、ダメな人をなんとかすることではなく、
 
全員で力を合わせて目標を達成するための指揮をとることです。
 
 
 
 
 
リーダーのあなたが変われば チームは変わります。
 
 
 
 
 
これからもこの紙面を借りて、そんな話をしていこうと思います。
 
楽しみにしていていください。

 

2013年9月3日火曜日

リクルートはブラック企業か?

 
最近、「ブラック企業」という言葉をやたらと耳にするようになりました。
 
メディアのあおりに安易にのるのはあまり好きではありませんが、
先日、新宿で知人と一杯飲んでいた時、ちょっとおもしろい話になったので
書いてみようと思います。
 
K氏:ブラック企業、というと僕が最初に連想するのは訪問販売とか
   マチ金とかなんですけど、最近はあれですか、外食のワ○ミ
   なんかがやり玉に挙がってるみたいですね
 
庄司:参院選もありましたからね~
 
K氏:そういえばこれ、見ました? ブラック企業の特徴、見極め方、
   だそうですけど
 
庄司:えっなんですか?
 
K氏:(1)長時間残業、終電帰宅当たり前
 
庄司:うんうん。
 
K氏:(2)離職率が高い
 
庄司:なるほど
 
K氏:(3)労働組合がない
 
庄司:ああそれもありそうですね~
   ん? でも、待てよ・・・
 
K氏:どうかしましたか?
 
庄司:その3つって、リクルートもあてはまるんだけど(笑)
 
K氏:おっ、庄司さんの古巣ですね
 
 
そうなんです。
私は20代で6年、40代で6年間リクルートで働き、そこで得た経験を
もとに営業リーダー養成、営業チームマネジメントの仕事をしています。
 
思えばリクルートで仕事をしているときってものすご~く働いていました。
終電帰宅当たり前の長時間残業の日々でした。
 
リクルートの離職率については、創立から50年以上経っている会社なのに定年まで
つとめた人が数人しかいません。
 
労働組合があったという話も聞いたことがありません。
 
 
K氏:はははは、そこだけ聞いたらリクルートは完璧ブラック企業ですね。
 
庄司:ほんとですね。
   実際、銀座8丁目のリクルートビルは昔から「不夜城」と
   呼ばれていたぐらいで、残業時間の長さじゃ十分ブラック認定の予選を
   突破してたと思います。
 
K氏:じゃあ何が違うんでしょう? 労働時間とか離職率とか、
   そういう数字以外のところにブラックと非ブラックを分ける
   壁があるなら、それはいったい何なのか!!
 
庄司:そうだなあ、何が違うのかなあ・・・
   あくまで主観ですけどね、リクルートの場合、万が一そういう内部告発者が
   出たとしても、会社が釈明する前に、まわりの社員が「あいつわかってねえ
   なあ」って言うような気がしますねえ。
 
K氏:どういう意味ですか?
 
庄司:う~ん、なんというのか「やらされ感」の違いですかねえ。
 
K氏:やらされ感?
 
庄司:そう、納得いかない仕事をムリヤリやらされてる感じ。
   リクルートは不思議とそういう感じじゃなかったんですよね
 
K氏:リクルートの仕事は楽しいからやってた感じですか?
 
庄司:いやいや、とんでもない!
   はっきり言って死ぬかと思うこともありましたよ(笑)
 
K氏:あらら(笑)
 
庄司:ところがね、その頃のことって、渦中にいるときはそんな余裕はないんです
   けど、ふり返って思い出すとみょうに楽しいんですよ。
   これ、わたしのまわりのリクルート経験者はみんな言います。
 
K氏:ほお。
 
庄司:この感覚ってね、なんだかマラソンに似てる気がするんですよね。
 
K氏:マラソン?
 
庄司:ええ、私40歳の記念に一度だけホノルルマラソンに出たことがあって、
   そりゃあもうヘロヘロになりながら這うようにしてゴールしたんですけどね、
   走ってる最中はしんどくてしんどくて「ああ、やめときゃよかった、
   なんでこんなもん出ちまったんだ」ってずーっと思ってた。
   ところがね、今思い出すとものすごく楽しかった思い出に変わってる。
 
K氏:なるほど。
 
庄司:そう、そのときにいっしょに走った友だちと話してたのが
   「これって、誰かにムリヤリやらされてたら10キロも走れねえよなあ」
   と、いうことだったんですよね。
 
K氏:つまり、「やらされ感」でやってたら絶対にできなかった。
 
庄司:そなんですよ!
 
K氏:う~ん、なんだかわかる気がしますねえ。
 
庄司:もしかするとリクルートって他の会社と比べて、そこで働いている人たちの多くが
   主体的に仕事をしていて、そういう意識を持ちやすい環境があるんじゃあ
   ないでしょうかね。
   だから、自他共に認めるナマケモノのわたしですら、まちがえて死ぬほど
   仕事をしてしまう(笑)
 
K氏:はははは、「主体的に」っていうのがキモのようですね。
 
庄司:ええ。それともうひとつは仲間と力を合わせてる感覚が妙に楽しかったんですよね。
   仕事が学園祭の前みたいで。
 
K氏:ああー、作業が押しちゃって徹夜続きで体はしんどいんだけど
   夜な夜な部室に集まってくだらない冗談飛ばしながら準備してるのが楽しいみたいな?
 
庄司:そうそう、
   それで祭本番でわーっと盛り上がって、
   終わったら終わったで、みんなで苦労した分、打ち上げがまた盛り上がって
   話がつきない、そんな感じ。
 
K氏:なんだかうらやましいですねえ・・・・
 
庄司:ブラックって感じがしないのは、そのへんかなあ
 
 
 
「リクルートみたいな営業チームを作りたい」
という経営者の方は今でもとても多いです。
 
おそらくそれは、リクルートの営業力もさることながら、リクルート社員の
モチベーションの高さへの興味とあこがれがあるのだと思います。
 
わたしも「リクルートみたいに」みんながイキイキと働きながら成果を出して
成長できる、そんな営業チームのつくり方をお伝えしていきたいと
思っています。
 
それにしても興味深いのは、星の数ほど会社があるなかで、なぜリクルートだけが
特出してそういう会社になっっていったのか、ということです。
 
今年残念ながらお亡くなりになられたリクルート創業者の江副さんは
どちらかといえば内向的な人だったのに、そこからリクルートのような外向的な会社が
生まれたというのは今でも不思議な気がします。
 
 
このテーマについては、
 
「リクルートを経験して」
 
かつ
 
「コンサルタントという職業を選んだ」
 
わたしのひとつのミッションとして、引き続き探っていきたいと思います。
 
 
ではまた次回。
 
 
つづく

2013年7月17日水曜日

「うちの営業マンはだらしない!」?・・・強制力で人を動かしていませんか

先日、"上司は、部下を育てたくない?" という話を書きましたが、
 
その続きです。
 
 
 
今回は、「怒ってばかりいる営業の責任者」に心当たりのある、
 
営業面で悩んでいる中小企業の社長さんにぜひ読んでもらいたい、と考えながら書いています。
 

 
 
 
Kさん「いますねえ、部下に対して、プチ独裁者的に振る舞う人って」
 
庄司 「いますよね。そんなことをしても成果が上がるわけがないんですけどね」
 
 
 
独裁者的な振る舞い、というのは、「売れるまで帰ってくるな!」という
 
種類の、恐怖と強制力で人を動かそうとするスタイルです。
 
 
 
スコップで穴を掘らせるような肉体労働ならともかく、
 
現代の社会で法人営業をやろうとするときにそんなことをしても、
 
営業部門が「チーム」としてまともに動くことはありません。
 
 
 
Kさん「チームが成果を挙げるようになるためには何が必要なんですか?」
 
庄司 「ものすごくおおざっぱに言うと、目標のイメージを共有して、
 
    マネジメントの技術を駆使すること、ですね」
 
 
 
目標のイメージ、というのは
 
 
 
  お客様が自社の商品を使って喜んでくれる
 
  商品が売れて営業成績が伸びることでチームが幸せになる
 
  売るためにチームが協力して楽しく仕事をしている
 
 
 
といったイメージです。
 
 
 
庄司 「こんな未来を実現するぞ! という強い想いが、
 
    リーダーには必要なんですよ」
 
Kさん「強い想い、ですね。そうですね。
 
    そのイメージに共感できれば、やる気になりますもんね」
 
庄司 「少なくとも社長はこの『強い想い』は持っていることが
 
    多いんですよ」
 
Kさん「なるほど」
 
庄司 「ただし、『想い』だけで組織は動きませんので、それに加えて
 
    マネジメントの技術が必要です」
 
 
 
よく、組織を動かして成果を出せる人のことを「あの人にはリーダーシップがある」
 
と評することがありますが、「リーダーシップ」というのは実は
 
 
 
  目標への強い想い + マネジメントの技術
 
 
 
の2つを車の両輪として成り立つものなんです。
 
 
 
マネジメントは、「想い」を実現するためにチームを動かす「技術」です。
 
 
 
この「想い」と「技術」の両輪がうまく回り出したときに、
 
チームは見ちがえるような力を発揮します。
 
わたしは今までその現場に通算50社以上立ち会ってきましたので、
 
このことは間違いなく断言できます。
 
 
 
 
 
Kさん「中小企業の社長さんや、営業の責任者にそれが欠けていると
 
    プチ独裁者になっちゃうんですかね?」
 
庄司 「社長さんには少なくとも『強い想い』のほうはあることが
 
    多いんですよ。それがないと事業立ち上げられませんから」
 
Kさん「なるほど、そりゃそうですね」
 
庄司 「でもね、思いはあるし、良い商品を作る技術もある。
 
    けれど営業チームをマネジメントする技術のほうは知らない、
 
    というケース、これがよくあるんですよね」
 
Kさん「ああ・・・マネジメントの技術を知らないから、独裁者的に
 
    なってしまう、ということですか?」
 
庄司 「その通りです!」
 
 
 
 
 
「営業チームを動かすマネジメントの技術」を知らない。
 
でも、動かさなければ成果は上がらない。
 
そこでどうするか。
 
 
 
やむをえず「強制力」で人を動かそうとすると、
 
いつのまにかプチ独裁者的な存在になっていきます。
 
 
 
それが、もっとも手っ取り早く人を動かす方法だからです。
 
 
 
しかし、強制力で人を動かして、一時的に成果が出ることはあっても
 
人が育つことはありません。
 
 
 
人は、納得感がないままに強制力だけで動かされると、
 
それが「無力感」になり、しまいには「被害者意識」へと変わっていきます。
 
 
 
そして生まれるのが、リーダーとメンバーの間に横たわる、
 
絶望的なまでに深い深いミゾ・・・・・・
 
 
 
  「うちの営業マンはだらしがない」
 
 
 
と思わず嘆いてしまうことがある経営者の方、自問してみてください。
 
 
 
  強制力で人を動かしてしまって
 
 
 
いませんか?
 
 
 
マネジメントの技術を知らないために、強制力で人を動かしてしまっている
 
ことが、「うちの営業マンはだらしがない」原因かもしれませんよ。
 
 
 
 
 
庄司 「それでも、社長はまだましなんです。少なくとも『強い想い』は
 
    ありますから」
 
Kさん「・・・・あ、営業の責任者のほうは・・・・・」
 
庄司 「そうです。『想い』の強さは社長のほうが何十倍も強いのが
 
    普通です。社長ほど強い想いを持たない現場の責任者が、
 
    プチ独裁者的なふるまいだけをマネすると・・・・」
 
Kさん「反感買うでしょうね・・・・」
 
 
 
 
 
実際、現場は決定的にまずい雰囲気になります。
 
面従腹背のピリピリした空気の中で上司がますます部下を怒鳴りつける、
 
という悪循環をよく起こします。
 
 
 
そして、本来のマネジメントを導入した時には、前回お話ししたように
 
立場を失って辞めざるをえない状況になってしまう・・・・
 
 
 
でも、そんな「現場の責任者」も含めて、誰も悪気はないんですよ。
 
 
 
ただ、「チームを動かす技術」を知らないために起こってしまう現象なんです。
 
 
 
そんな悲劇を少しでもなくすことが、「営業チーム強化コンサルタント」
 
であるわたしの願いであり、仕事です。
 
 
 
知らないことは、知ればいい。それだけのことなんです。本当は。
 
 
 
社長も現場の責任者もメンバーも本来みんなが望んでいる
 
「明るく元気で、売れる営業チーム」のつくり方を知ってもらうために、
 
 

 

つづく
 
 
「リクルートが"スゴイ"のは 営業マン個々人が優秀だから・・・
ではなかった!」
 
元リクルートNO1.マネジャーの庄司充が、リクルート営業の強さの秘密を
大公開します!
 
営業に悩む経営者やリーダー必見の無料セミナーを開催します。
 
 

 

2013年7月9日火曜日

上司は、部下を育てたくない? 社長と現場責任者の間には深い深い溝が・・・


営業コンサルタントの庄司充です。




先日、知人と電話で話しているうちに、あることに気がつきました。
 
実は、私がコンサルに入った会社では、社長から現場をまかされていた責任者が辞めて
しまう、というケースが非常に多いんです。
 
「それは偶然じゃなくてですか?」
 
と聞き返してきたのはそのときの話し相手のKさん。
 
庄司 「最初はわたしも偶然だと思ってたんですけど、どうもね、
    ひとつのパターンになっているみたいなんですよ」
 
 
Kさん「へえ、それは面白いですね。なにか理由があるんでしょうね」
 
そこでKさんと話をするうちにその理由もハッキリ見えてきました。
というわけで今日はその話を書きます。
 
 
庄司 「辞めちゃう現場の責任者って、いつも怒ってばかりいるタイプの人
    なんですよ」
Kさん「売れるまで帰ってくるな! とか 売れない奴はゴミだ
    カスだ、みたいに部下を罵倒するタイプですか」
庄司 「そうそうそんな感じです」
 
肩書きが部長であれ課長であれマネジャーであれ、営業部門の責任者には
わりと多いスタイルです。わたしが営業コンサルに入ると,
このタイプの人はかなりの確率で辞めてしまいます。
 
Kさん「でも、庄司さんが入ることで、営業チームは成果が出るように
    なるわけですよね。なのにどうして辞めちゃうんですか?」
庄司 「そこがわたしも謎だったんですけど、どうやらですね・・・」
 
 
そう、ここが本題です。
 
どうやら・・・・・・
 
辞めてしまうタイプの現場の責任者は、じつは
 
 
   「会社の業績が悪いことはあまり気にしていない」
 
ことが多かったりするのです。
 
さらに誤解を恐れずに言うと
 
   「メンバーには育ってほしくない」
 
 
というのが本音のようなんです。
 
もちろん、本人も自覚してないことが多いので、本音というより、
深層心理とでも呼んだ方がいいのかもしれませんが・・・
 
Kさん「育ってほしくない! ですか・・・
    でも、育ってくれないと営業成績上がりませんよね?」
庄司 「そうなんですよ、でもね・・・」
 
実はこの話を考えるうちにわたしは
 
 
   社長と現場責任者の間には深い深い溝がある
 
 
ことに気がつきました。
 
簡単に言うと、社長は「会社の成長」を誰よりも深く考えていて、
業績が悪いことにはものすごい危機感を持っています。
それに対して、現場責任者はどうしても社長に比べると甘いです。
100倍ぐらい甘いのが普通です。
 
そして、「部下を怒ってばかりいるマネジャー」には、「売れること」
よりも「俺はエライんだぞ、上司なんだぞ、と力を誇示すること」が
目的になってしまっている人が多いんです。
 
Kさん「ああ・・・自分の居場所を確保することが一番大事になっちゃてる・・・」
庄司 「そうそう、それです、まさに」
Kさん「なるほど・・・部下が成長しちゃうと自分の居場所が
    なくなっちゃうんじゃないかと」
庄司 「そうなんです。しかもそれだけじゃなくて、自分が何の役にも
    立ってなかった、ということがばれてしまうんですよ」
 
部下に対して「売れない奴はゴミだカスだ」ぐらいの勢いで怒って
ばかりいたマネジャーです。
 
こういう人は実際には問題解決をやっていないんです。
 
営業における問題解決、というのは、
売るためのプロセスを明らかにして、
そのプロセスを具体的に進める方法を何通りも試してベストな
やり方を探し、見つけたやり方をチームで共有し、
プロセスの進捗を見える化して把握し、
その過程でぶつかるこまごました「これができない、あれができない」
という問題をひとつひとつ解決していく、そんな「作業」の連続です。
 
こういう問題解決を実際やるようになると、「怒」っても何の役にも
立ちません。
 
なので、本当の意味でのマネジメントが機能しだすと「怒鳴り声」は消えて無くなり、
みんながジョークを飛ばして笑いながら知恵を出し合って目標に向かう、
そんなチームができるようになります。
 
そしてそのほうが営業成績が上がる、
という現実が明らかになるにつれて・・・
 
Kさん「ああ、今まで怒鳴られてたのはなんだったんだろう、
    という気持ちになるでしょうね、みんな・・・」
庄司 「そうでしょ。元の上司は怒鳴ってばかりで実際に役に立つ
    マネジメントは何にもしてなかった、というのが見えちゃう
    わけですよ」
Kさん「ああ、それはキツイ。確かに辞めたくなるかも・・・」
 
そのときに、こういうやり方もあるのか、と学んで姿勢を切り替えて
くれればいいんですが、今まで部下に対して強圧的にプチ独裁者の
ように振る舞ってきた人には、なかなかその切替は難しいようです。
 
同じように「プチ独裁者」的振る舞いをしていたとしても、
社長の場合はそこが違います。
 
「社長」というのは会社の成長を素直に喜べる立場です。
今までと違うやり方で、社員が楽しく働けてしかも成果が上がる
ようになりました! と聞けば何のためらいもなく、よっしゃ
その調子でどんどん行こう! と言えるのが社長です。
 
ところが現場責任者というのはそうじゃありません。
部下に対してプチ独裁者的に振る舞ってきたマネジャーは、
社長に対しては
 
  「部下はまだまだ頼りないですが、
   私が叱咤激励して目標達成を目指しています」
 
といった形で体面を取り繕っています。
 
これが、崩れてしまうわけです。プチ独裁者から、
一番ダメだったのはお前じゃないか、という立場への転落です。
 
なかなかこの壁を越えるのは難しいようです。
 
 

2013年4月15日月曜日

社員が育つ環境をつくるために必要なこと(その1)

 
 以前のブログで、ワンマン社長の父の後を継ぐ二代目社長がしばしばはまり込む「民主的経営の罠」について書きました。
 
 
 中小企業の社長が社員を怒鳴りつけて動かす強権的なスタイルであることなんて珍しくないです。二代目がこれに反発するのもよくあるパターン。でもワンマン経営から脱しようとして「社員の自主性を重んじ、個の力を活かすマネジメント」を目指しても、これがそうそうカンタンじゃあない。
 
 
 
 ワンマン経営というのは一強他弱なもので、リーダーである社長だけがビジネス上の判断力を持っていて、他の社員には力がない場合がよくあります。ちなみにこれ、「権限がない」のではなく、「能力自体が鳴かず飛ばず」という意味です。
 
 
 
 
 
 
 こういう状況じゃ、社長はうかつに「権限委譲」、英語で言えばエンパワーメントですか?なんてできません。とても無理な相談です。力がついてないので自由にやらせたらしくじる。だからうるさく指示命令して怒鳴りつける。その結果いつまでも「自分で判断」することができず、社員の力は伸びていかない。これぞ典型的な悪循環。
 
 
 
 「権限がない」のと「能力が伸びない」のは原因と結果の表裏一体のようなもので、社員がしくじってもしくじってもぐっとこらえて「成長を待つ」ぐらいの姿勢でかからないと、人材は育たないんですね。
 
 でも、それをやろうとすると、一時的に会社の業績は落ちます。
 
 
 
 
 
 ガミガミ指示命令して社員を動かすと、とりあえず「社長の能力の限界」で会社が動きます。図中のAの赤線ですね。でも、ぐっとこらえて社員にまかせると、少なくとも一時的には図中Bの青線のレベルまで落ちてしまいます。これ、ものすごーく怖くないですか? 「このまま育たなかったらどうしよう・・・」そんな恐れが出てきたら、とてもこの状態は続けていられません。
 
 
 
 だから、なんとか「短期間で社員が育つ」工夫をしなければいけないわけです。その工夫なしに「個の力を活かす経営」なんて論外な夢物語。

 
 理想は、1人1人の社員の力を伸ばし、それがうまくかみ合った「チーム」にすることで、社長1人の能力の限界をはるかに超えた力を「チーム」が発揮できるようにすること。そうすれば、社長も社員も「笑ってお仕事」できるようになります。
 
 
 
 ではそのために何をしなければならないか。
 
 一言で言うと、「PDCAをまわせるような仕組みを作る」必要があります。
 
 
 
ここでPDCAなんていうと、「なんだよ、そんな話か そんなこと知ってるよ!」という声が聞こえてきそうですね。
 
確かに会社の経営をやっている人でPDCAという言葉を知らない人はいないでしょう。
 
そして、研究開発や製造工程のなかでは実際に行なわれていることも多いでしょう。
 
 
 
ところが!
 
こと営業ということになると、これがまったく実行されていない、わたしの経験からいうと、それは大手だろうが中小だろうが営業部門でPDCAを回している会社はほとんど見たことがないのです!
 
 
 
つづく

2013年3月20日水曜日

営業リーダーのみなさんへのメール

名古屋の「あつた蓬莱軒」で食べた「ひつまぶし」に
めちゃくちゃ感動した庄司です。
(ひつまぶし発祥の店だそうです。さすが!)
 
 
今回は、先日クライアント企業に送ったメールの内容が、
もしかすると、かなり多くの企業にあてはまるのでは
ないか?と思ったので、ご紹介します。
 
この会社は某大手企業グループの販売会社です。
 
営業のリーダーは、ほとんどが親会社からの出向者なの
ですが、営業マンは販売会社で独自に採用しているために、
さまざまな履歴の人たちが集まってきていて、これまで
の組織の文化が通じません。
 
そのため、営業マンとの関係がうまくいかずに
 
「メンバーが思ったように動いてくれない・・・」
「メンバーとの関係がうまくいかない・・・」
 
と悩んでいる人が多かったのです。
 
以下 そんなリーダーのみなさんにわたしが送ったメールの
内容です。(一般的に理解してもらいやすいように、若干の
アレンジを加えています)
 
以下
☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 
■○○株式会社 営業リーダーのみなさんへ
 
メンバーをイキイキと動かすためにもっとも大事なことは、
何でしょう?
 
それは
 
「何のためにやるのか?」
 
目的をしっかりと伝えることです。
 
 
たとえば、コピーをたのむときでも
 
ただ「これ、コピー取っておいて」と言うのと
 
「これ、午後から商談する大事なお客さんへのプレゼン
資料なんだけど時間が押しちゃって、悪いけどコピー
取っておいてもらえないかな」
 
と伝えるのとでは、たのまれた人の行動に大きな差が出
ます。
 
 
「何のためにコピーを取るのか?」がわかっていれば、
 
「あのお客さんが決まれば今月のチーム目標が達成でき
るはずだ。よーし、時間はないけど少しでも会社の印象
をよくするために、紙をきっちりそろえて、ホチキスも
曲がらないようにしっかり止めよう」
 
と、主体的な行動が取れるようになり、工夫の余地も生
まれます。
 
主体的な行動は、必ず「いい仕事」に結びつきます。
 
その「いい仕事」に対して、 
 
「時間がない中で、すごくきれいにコピーしてくれてた
ね。おかげで、お客さんの評価も上々だったよ。きっと
契約になると思うよ。助かった、ほんとにありがとう。」
 
というように、しっかりと結果の報告と感謝の気持ちを
表せば、メンバーとのあいだに連帯感と信頼感も生まれ
ます。
 
もしも、「これ、急ぎでコピー取っておいて」としか言わ
なかったら、相手は「なんだよ、めんどくさいなあ。コ
ピーぐらい自分でとればいいのに」としか思わなかった
ことでしょう。
 
コピーひとつとっても、「何のためにやるのか?」をしっ
かり伝えるだけで、これだけ結果に差が出るのです。
 
しかし、組織で仕事をしている多くの人がこんなあたり
まえのことを忘れてしまいます。
 
それはなぜか?
 
組織では、いちいち「何のためにやるか?」なんて説明
しなくても、上司が「やれ」と言えば、部下はやらざるを
得ないからです。
 
組織が大きくなればなるほど、そこには厳密なヒエラルキー
が存在して、役職による上下関係は強くなります。
 
会社が決めた上下関係があれば、とりあえず人を動かすこと
はできてしまうのです。
 
このことが、本来、人を動かすためにあたりまえのはずの
 
「何のためにやるのか?」
 
を説明するという作業を忘れさせてしまいます。
 
もちろん、上司に言われれば部下は動くでしょう。
 
だけど、
 
「意味もわからずに仕方なく動く」のと、
 
「目的をしっかり理解して主体的に動く」のでは、
 
仕事の質に、雲泥の差が出るのはあたりまえのことですよね。
 
優秀なリーダーは、チームで何かに取り組むとき、人を動か
すときには、まず「何のためにやるのか?」を説明すること
に、ものすごいパワーをかけます。
 
事前に、説明の仕方や言い回しをしっかり考えて、メンバ
ーが不安や疑問に思いそうなことをあらかじめ想定して、
質問に対する答えも準備してからメンバーに伝えます。
 
あたかも大事な顧客にプレゼンに行く前のように入念な
準備をします。
 
伝えている最中も、メンバーが理解できているか、納得
しているかをしっかり見きわめながら、納得が不十分な
ようであれば言葉を足したり、納得いかない部分を聞き
出したりして、メンバーの目が、確信で「キラッ」と輝
くまで説明する努力をします。
 
「そんなめんどくさいことを」と思われるかもしれませ
んが、それが逆なのです。
 
これをやっておくで、あとが圧倒的にラクになるのです。
 
上司に言われたから仕方なくやる場合は、「めんどくさい
なあ、まあ怒られない程度にやっておけばいいや」という
最低限ですまそうという意識が働きます。
 
このように気持ちが入っていない仕事は、当然ながら
「いい仕事」に結びつくことはありません。
 
しかし、「何のためにやるのか?」を理解して、自分の役割
に納得して目が「キラっ」と輝いたメンバーは、その目的に
対して積極的な貢献をしようと、自ら動き始めます。
 
「これ、こんなふうにしてみたらどうでしょう?」
「こんなやり方って、ありですか?」
 
などと、まかせておいてもアイデアがどんどん出てきて、
最終的には、期待以上のびっくりするような成果を上げ
ることがよくあります。
 
そのときのリーダーの仕事といえば
 
「うん、それはいいね、やってみて」とか
「ああ、それはおもしろいアイデアだけど、ちょっと
目的からずれるから少し修正が必要だな」とか、
 
メンバーの作業の調整をしていくだけです。
 
人は「共通の目的」を持った仲間たちとともに働き、
チームに「貢献できた」ことに、ものすごく喜びと
誇りを感じます。
 
この感覚をつかんだチームは、何をやるときでもその快
感を得たくて自発的に動くようになるのです。
 
 
メンバーが最高のやりがいをもって動き出せるように
 
「何のためにやるのか?」
 
を、意義とワクワク感をもってしっかり伝えられる力が、
リーダーにとって、ものすごく重要なスキルなのです。
 
 
☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 
 
 

2013年3月9日土曜日

「体罰」と「営業の世界」に共通する問題点とは

こんにちは!
 
営業チーム強化コンサルタントとして、この2月で
6年目を迎えた庄司 充です。
 
 
大阪の高校の事件をきっかけに、「体罰」(暴力行為?)
についての議論が巻き起こっていますね。
 
ここで学校教育やスポーツ界の現状にについて語るつもりは
ありませんが、ビジネスの世界、営業の世界でも、共通する
問題点があります。
 
今日は、そのことについて書いてみたいと思います。
 
 
 
その問題点というのは、リーダーや指導する立場になっても
 
「『教え方』を教わる機会がない」
 
ということです。
 
その結果
 
「自分ができた人ほど、リーダーになるとよく怒る」
 
と、いう現象が起こります。
 
 
自分ができた人というのは、
 
・はじめからがんばる理由が明確にあって、
・がむしゃらにやっていたら、
・いつのまにかできるようになっていた
 
という人が多い。
 
だから、なんで自分ができたのかをうまく説明する
こともできないし、できない人がなぜできないのかも
わからない。
 
それで、とにかく自分はがんばったからできた。
「できないやつはがんばりが足りないんだ!」という
思考になりがちなんですね。
 
プロのサッカーの世界では、どんな一流プレーヤー
でも、指導者になるためにはテストを受けて合格しな
ければならないそうです。
 
「自分ができる」ということと、「教える」「指導する」
ということは、まったくちがうスキルだということが
明確に認識されているのですね。
 
しかし、ほとんどの競技では、選手として一流だった
人を安易に指導者にしてしまうケースが多いよう
で、このへんに体罰問題の根幹の原因がありそう
ですね。
 
ビジネスの世界でも、営業マンとして優秀だった人が
教え方、指導の仕方をいっさい学ばずに我流でリーダー職
を務めているケースが圧倒的に多いのが現状です。
 
自分ができた人が「教え方」を知らずに、チームの勝利を
義務づけられるとどうなるか?
 
そうなんです。
そこで登場するのが、立場や権限を使って
「恐怖」で人を動かすという方法なんですねえ。
 
なぜなら、それがもっとも手っとり早くてカンタンな
方法だからです。
 
しかも、短期的に成果を上げるためには、けっこう
効果的だったりするんですねえ、これが。
 
80年代90年代に急成長した通信系のベンチャー企業
なんかも、こうした傾向が顕著でしたね。
 
さすがに体罰はなかったかもしれませんが
わたしが知っているところでも、いつも怒鳴り声が
聞こえていて、たまに用事で行っても事務所に入るのも
いやな会社がありました。
 
そうした会社は、いっとき確かに急成長しましたが、
その裏ではものすごいストレスが蔓延していて、
たくさんの社員が身も心もボロボロになってやめて
いったのです。
 
会社として成長するためには、あたりまえのことだ!
と、言われるかもしれません。
 
しかし、ストレスまみれで仕事をしている社員は
お客さんを喜ばせることもできないんですね。
 
当然のように一時を境に見るも無残に業績が急降下して
いきました。
 
 
 
鬼のようなモチベーションと強靭な精神力のある
一部の人は別として、わたしたちのような普通の人間が、
ハードな仕事を持続的にこなすためには
 
「自発的に動いて、挑戦することを楽しめる状態」
 
が必要です。
 
その状態をつくることを後押しするために
 
 
Why
「何のためにやるのか」を納得いくまで伝え
 
What
「何をすればいいのか」を明確に示して
 
HOW
「どうやればいいのか」を、ステップごとに
ていねいに教えていく
 
それが指導者に必要な基本のスキルです。
 
 
教わる人を
 
「やってみようかな」
 
「できるかもしれない」
 
「もっと、やってみたい」
 
というように導いてくれるのが優れた指導者です。
 
指導者にスキルがあれば、恐怖による支配は
必要ありません。
 
恐怖による支配は、指導者のスキル不足をごまかす
ための隠れみのにすぎません。
 
その証拠に、わたしの前職のリクルート社は、
日本のベンチャーの先駆けでもありながら、
わたしが入社した80年代でも恐怖による支配は
どこにも見当たりませんでした。
それでもいまだに成長を続け、いつのころからか
人材輩出企業といわれるまでになっているのです。
 
これは、
 
「自ら機会をつくり、その機会によって自らを変えよ」
 
という社訓に象徴されるように、
 
「強制ではなく自発的な行動こそが成長につながるんだ」
 
という考え方が、長きにわたって受け継がれてきた
結果です。
 
先輩から怒られるのがいやで部活をさぼったり、
バイト先でも、ちょっとでも怖い人がいるとすぐに
やめてしまったりしていた当時のわたしでも
ノビノビと気持ちよく仕事を続けることができたのも、
そんな社風と、指導していただいたリクルートの
先輩方のスキルの高さのおかげです。
 
わたしは、最初に入った会社がリクルートで
ほんとうによかったと思っています。
 
そんなわたしが、今ではクライアント企業に
そのスキルを伝える仕事をさせていただいている
というのはとてもありがたいことです。
 
リーダーのみなさん、メンバーがだらしないと言って
嘆くよりも「教えるスキル」を身につけましょう!
 
自分ができるようになるのと、人をできるように
するのはまったくちがうスキルです。
 
教えるスキルがあれば、恐怖や強制力は必要なくなり
ます。
 
役職や権限に甘えてはいけません。
 
コンサルタントだって、クライアント企業に反抗的な
人がいたとして、それを体罰で言うこと聞かせても
意味がないですよね。
 
「教えるプロ」としては、本人が納得して自ら動ける
状態をつくってあげることが仕事なのです。
 
 
わたしのクライアント企業の社長さんやリーダーの
方々も、営業チームのほんとうの指導方法がわかるに
つれて怒らなくなっていきます。
 
ある社長さんは、事務の女性から
 
「社長、最近きげんがいいですね。」
 
と言われて
 
「わたし、そんなに怒ってばっかりいたんですかねえ」
 
と言って照れ笑いをしていました。
 
 
 
わたしは小心者なので、怒るのも怒られるのも大きらい
です。
 
人が怒られているのを見るだけでもびびってしまい
ます。
 
店長がバイトの子を客前で怒鳴りつけているような
店には二度と行きません。
 
「教えるプロ」としては、まだまだ未熟さを痛感する
日々ですが、怒らなくてもメンバーを育てられる人を、
ひとりでも多く増やすことができたら本望だ、などと
ニュースを見ながら思う今日このごろなのでした。
 
 
追記:
 
とはいうものの、世の中には「怒られる」のが好きな人も
いるようで、恐ろしいおばちゃん講師が、参加者に平気で
怒声を浴びせるようなセミナーが盛況だったりするよう
ですが、受ける本人が行きたくて行ってるんだからそれも
いいでしょう。
 
猪木の闘魂ビンタみたいなものですかね。
 
わたし?いえ、わたしはけっこうです。(笑)
(闘魂ビンタはOKです)

2013年2月21日木曜日

江副さんの訃報に思う



リクルート創業者の江副さんがお亡くなりになりました。



つい先日のメルマガで



「はじめて入った会社がリクルートでほんとうによかった」



と、書いたところだったので驚いてしまいました。







それにしても、ほとんどの報道が



「リクルート事件で有罪が確定した・・・」



という紹介の仕方をしているのが、残念で悔しくて

なりません。





日本には優秀な経営者がたくさんいると思いますが、

リクルートほど、社員がのびのび育つ風土と仕組みのある

会社をほかに知りません。





ほんとうにたくさんの人が、リクルートでの経験をもとに

社会で活躍しています。



わたしのような、ろくでもないものが、多少ではあっても

世間のお役に立つ仕事ができているのもリクルートでの

経験のおかげです。





「人が育つこと」



それは、会社にとっていちばんの価値だと思います。



その意味で、江副さんはまちがいなくNO1.の経営者です。







「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」







この言葉は、一生忘れません。



心からご冥福をお祈り申し上げます。

2013年1月31日木曜日

会社が民主主義じゃうまく行かない理由は?


 前回、「絶対に怒らない営業コンサルタント」と呼ばれている話をしましたが、それでひとつ思い出したことがありました。

 そもそもあれです、「怒らない営業コンサルタント」という話がどうして出てきたか。

 「営業部長」ってやたらと怒っているイメージがあるみたいなんですね。

 部下をノルマで締め上げて、達成できないと「たるんどる!」とか「やる気あんのか!」とか「気合いだ!気合い!」あ、これはアニマル浜口ですけど、当たらずといえども遠からず。

 おそるおそる、「あの、このお客様にはB商品のほうが合っていると思うんですけど・・・」 と進言しようもんなら、「つべこべ言うな!」とまた怒られる、そんなイメージありませんか?



 実は私のクライアントの何社かで、そんなケースに出会いました。



 登場するのは、創業者の息子の2代目社長。

 たたき上げの初代がゼロから作り上げて大きく育てた会社を引き継いで社長となった若き2代目経営者。初代と違って高学歴、留学経験があることも珍しくないしPCスキルも高い。マーケティングやドラッカーなんかもよく勉強している。



 ところがところが、そんなスマートな若社長が往々にしてはまってしまうある失敗のパターンがあるんです。それは、



              会社を民主的に運営しようとすること



 意外でしょうか。えっ、民主的じゃダメなの? と思われるかもしれませんね。



 実は私も最初はわからなかったんですが、何例か見ていてはたと気がつきました。

 あ、こりゃだめなんだ・・・会社って民主主義じゃうまく行かないんだ。と。



 落ち着いて冷静に考えてみるとですね。一代で会社を大きくした創業社長ってワンマンタイプが多いんです。代表的なのがソフトバンクの孫さんかな。

 社長の一存ですべてが決まってしまう、そんな会社、そんな社長さん、きっと読者のみなさんも心当たりありますよね。

 そういうワンマンタイプは、よく怒ります。社内で部下を怒鳴りつけて動かすなんて日常茶飯事。そしてそれを見てきた2代目社長が経営を引き継いだとき何が起こるかというと・・・



              「ああいう社長にはなりたくない」



 という意識が働くケースが往々にしてあるわけです。

 我が親ながらその強権ぶりが見苦しくてしかたない、俺はあんな経営者にはなりたくない。親子だからこそ反発してしまうときもあります。教育レベルも高いので、社員の力を活かす美しき経営思想や経営管理の方法論の知識もある。目指すのはそんな経営。俺はきちんと社員の話を聞いて、自律的な行動を尊重し、社員の活力を引き出すマネジメントをしていこう・・・と願って民主的な経営を始めると、



 失敗します。



 だいたい、うまくいきません。そんなケースを何度も見ました。

 思うに、社員の活力を引き出すとか、そのために自律的な行動を尊重するとか、スローガンはいいんですけど、それが成り立つためには社員のほうもある程度人間として、ビジネスマンとして成長していなければダメなんですね。



 ワンマン社長の下で育った社員は、自分で考えて決断し行動することに慣れていない場合が多いです。だから、まずは「自分で考える」ことができるような社員が育つ環境を作ることからやらなきゃいけない。



 それに気がついたとき、実は、私自身がやってきたことの意味もよくわかってしまいました。



 私自身がやってきたこと、というのは実は2代目社長の理想の形なんですよ。

 前回の記事を読んでいただければわかると思いますが、営業コンサルの現場では私はほとんど怒りません。怒らずにボケツッコミを通して営業マン1人1人を鍛えていく、そんな役割を演じています。



(前回記事より引用)
http://sales-pro1.blogspot.jp/2013/01/blog-post_26.html


営業マン1人1人に喋らせ、そこに私がボケツッコミのツッコミ役を演じるわけです。それを繰り返すうちに、営業マン1人1人の「判断力」が上がっていくように。



 そうやって1人1人の成長をうながしているうちに、自力でいい判断ができるようになり、私の力を必要としなくなったら、そこでめでたく営業コンサルからは卒業です。ここまでいけば、2代目社長の理想の経営ができるはず。

 でもそれは、「ここまでいけば」の話です。

 「ここまで」いくための仕掛けがいろいろと必要なんですよね。

 じゃあいったいどんな仕掛けが必要なのか。

 2代目社長の理想の経営ができるように、営業社員のレベルアップを図るために必要な打ち手、それは一体何なのか? それは、次回のお楽しみです(笑)




2013年1月26日土曜日

営業マンのヨミ力を鍛えるアナログな日々



ちょっと聞いてみたいんですけど、営業コンサルタント、というと、体育会系熱血鬼営業所長タイプの延長みたいなイメージ、ありますか?

 え、ある? やっぱりねえ・・・そうなんでしょうねえ。

 いや実は先日、あるクライアントが私を紹介してくれたときに、



「庄司さんは絶対に怒らない営業コンサルタントなんです」



 というフレーズをかましてくれたもので、思わず「なんじゃそりゃ」と思って聞いてみたわけですよ。そうしたら、



だって、庄司さんほんとに怒らないじゃないですか。

営業コンサルタントなんて、鬼の営業所長みたいに

二言目には気合いと闘魂で怒鳴り散らす厚かましいタイプの人を

イメージしてたんですけど全然違っててほんとよかったと思ってるんです



 などとおっしゃるわけです。



 あらためてそういわれてみると確かに怒った記憶ってあんまりないです。

 あんまり・・・・うーん・・・・あれ? ほんとにないな。 ま、怒るよりも笑って仕事が出来たらそのほうがいいですよね。



正直言って、わたしは人の好き嫌いも激しいし、しょっちゅう頭にくるし、

言うまでもなくそんな立派な人間ではありません。



ただ、営業チームを育てるのに「怒る」ということ自体があまり有効だとは思わないから

怒らないのです。



 じゃあ怒る代わりになにやってるかというと、まあ簡単に言うと「ツッコミ」です。

 たとえばこんな感じです。



ある日のA社営業チームミーティングにて

B君:えーっと、先月からヨミに上がっているC社をなんとか

  今月契約に持っていきます。



庄司:あれ?C社が先月契約にならなかった理由って何だっけ?

B君:はい、金額の折り合いがつかなくて・・・。

庄司:そうだよね、で、折り合いがつくメドはたったの?

B君:いや、まだです・・・

庄司:だよね~、それってヨミかな?

B君:う~ん、え~っと、すいません願望でした(照れ笑い)

一同爆笑

庄司:(笑いながら)うん、気持ちはわかる。だけどお客さんが無理な

   値引きを要求してくるってのは、まだうちのサービスの本質を

理解してもらえてないわけだから、ここでしつこくクロージング

かけるより、一度ヨミからはずしてもう1回仕切り直したほうが

いいと思うよ。あとで、いっしょに作戦練り直そう!

B君:はい!





 これ何やってるかというと、つまるところは「営業マンが身につけるべき考え方を少しずつB君が学べるようにしてる」んです。



 たとえば同じ会社にB君と私が一緒に訪問したとしましょう。同行ですから一緒に先方の話を聞いて、こちらからも説明をして、終わって引き上げたところでの判断が



B君:あの会社は非常に有望だと思います

庄司:いやいや、全然ダメだろ



 と正反対になっちゃうことなんて珍しくないんです。特に営業経験が少ないと、どうしても「見込み度合い」への判断に希望と願望(あ、同じか)が入り込むので、どうしても甘い点をつけがちです。これをそのまま放っておくと、



本当は見込みのない会社に手間を掛けすぎて全然成果が上がらず、

肝心の「あと少し不安がとりのぞければ買ってくれる会社」へのプッシュが

足りない



 ということになりやすいんですよ。

 だから、ミーティングではこの「見こみレベルの判定」を念入りにやります。



どんな根拠で見こみレベルをいくらと判断したのか



 を営業マン1人1人に喋らせ、そこに私がボケツッコミのツッコミ役を演じるわけです。それを繰り返すうちに、営業マン1人1人の「判断力」が上がっていくように。



 いましがた「ボケツッコミ」と書きましたけど、ほんとにそんな感覚なんですよね。極めてアナログ的。こんなアナログ的ミーティングを繰り返して、1人1人の判断力を上げた上での「見こみレベル」だったら当てになります。

 こういう判断をするにはどうしても「何年もの間、いろいろな会社と担当者にアタックして成功と失敗と失敗と失敗(しつこい)を繰り返した死屍累々の経験」が必要で、それを何の経験もない新人営業マンが短期間に身につけるのは難しい。だから私のようなコンサルタントが「ツッコミを入れる」ことでそのサポートをする意味があるんですね。



 そんなわけで日々ボケツッコミに余念がない、絶対に怒らない営業コンサルタント・庄司充でした。


2013年1月22日火曜日

営業ができるから営業を教えられるとは限らない



私は「営業に困っている中小企業のために、営業チームを元気にするコンサルティング」を行っています。



 クライアントとして多いのは、



社長は営業が出来るんだけれど、それを部下に教えられない。

だから部下が育たず、「なんでこんなこともできないんだ!!」

と社長はついつい怒りっぽくなってしまう



 というそんなパターンです。

 で、あるときそんな話をある人としていたら、ちょうどこんな会話になりました。



 庄司:・・・というわけなのよ

 開米:あー、ありますよねそういうこと。人って自分が当たり前にできることはなかなか人に教えられませんからね

 庄司:あ、そうかそういうことか!



 このときの話し相手は誠ブログでも「読解力図解力と教える技術の謎解きブログ」を書いていて有名な開米瑞浩さん。



 そういえばそうです。これで思い出したんですが、以前わたしが新人営業マンのトレーニングを担当した会社で、ひとりだけぜんぜん売れないSくんという子がいたんですね。

ひとりで夜遅くまで残って一生懸命プレゼンの練習をしてがんばってるんだけど、なかなか成果につながらない。

「おかしいな?」と思って、一度営業に同行してみたらすぐに原因がわかりました。

Sくんはなんと、一生懸命練習してきたトークのことで頭がいっぱいで、お客さんが話してるときに、ほとんど相づちをうってなかったんです。

それで、お客さんとの話がぜんぜん盛り上がらなかった。



庄司「Sくん、原因がわかった。君に足りないのは相づちを打つことだ!」

Sくん「えっ?・・・」

庄司「相づちだよ相づち、へー、なるほどー、そうなんですねー、この3つの言葉を使うだけで君は売れるようになるよ、さっそく練習しよう!」

Sくん「は、はい・・・。」



それから、世にも不思議な相づちの練習が始まりました。

はじめは戸惑っていたSくんでしたが、それまで悩んでいた分、ワラをもすがる思いだったのでしょう、真剣に相づちの練習に取り組みました。



すると次の日、さっそくSくんからわたしの携帯に電話が!

Sくん「すごいです!お客さんが3倍しゃべってくれるようになりました!」

それはもうはじけるような声でした。



それで自信を取り戻したSくんは、1年たった今では会社のトップ営業マンです。



 アポ取って営業に行ったらまずは雑談をして空気をほぐす、相手の話を聞きながらきちんと相づちを打つ、ということ。できる人にとってはあまりにも当たり前すぎて、それが出来ない人がいる、なんて夢にも思わなかったんです。

普通、相づちを打つことを教えるなんて考えませんよね。





 庄司:ということですよね。自分では営業ができる社長って。

 開米:だと思いますよ。自分が何をやってるのか自覚しないまま出来ちゃってるんでしょう。自覚しないぐらいだから難しいと思ってないんです。本人にとっては当たり前すぎて・・・

 庄司:まさかそれが出来ない奴がいるなんて夢にも思ってない!

 開米:そうそう

 庄司:だから、自分でやればできるんだけど、人には教えられない。

 開米:ってことじゃないですか? 庄司さんはそこを自覚できるようにしていくことでコンサルティングをやってるんですよね。



 まさしくそうなんです。私のような営業コンサルタントは、まさに



「営業」という仕事は何をすることなのかを自覚できるようにして、

それを営業チーム単位で日々改善していけるように仕組み化する



 ことをお手伝いするのが仕事です。

 中小企業の社長は自分で営業が出来る人が多いのですが、いつまでも社長頼みでは会社は成長していけません。人材が育ちません。

 会社がもう一度成長を続けるためには、社長が動物的に野性のカンでやって成果を挙げてしまっていた営業の仕事を、誰でもできるように分解し、見える化し、継続的に改善されるように仕組み化する必要があります。

 それが、営業コンサルタントの役割なんですね。



あー、そういえばコンサルタントのなかには、やたらとダメ出しをして怒ってばかりの人もいるようですが、わたしの場合、自分が怒られるとやる気がなくなるタイプなので、クライアントにも怒るということはまったくありません。



たまに、怒られるのが好きなMッ気の強い人たちもいるみたいで、やたらとおじさんたちを怒鳴りまくっている関西弁のおばさんのトレーニングが盛況だったりするようですが、そういうのが好きなタイプの方は、私のコンサルは受けない方がいいですね(笑)



わたしはクライアントがもともと持ってる良さを引き出すことが仕事だと思っているので、むしろ、どうやって笑わすかを考えています。

リラックスして仕事を楽しめるようになってほしいですね。

だから社内に笑い声が増えていくことを目指しています。



●私の著書です。


「売れ!」といわずに30日で「売れる営業チーム」をつくる法
―リクルート5年連続全国No.1マネジャーが明かす驚異の実践メソッド
500社で実証済み

わずか2日で、シロウト集団がすごい売上げを記録!リクルートの「燃えるチームづくり」の真髄を初めて体系化した必読バイブル。出版社: 大和出版





2013年1月20日日曜日

数字だけでは業績が上がらないのはなぜか



突然ですが、先日ある会社のコンサルティングをしていたときのこと、社長さんが「庄司さんこれちょっと見てくださいよ」と言って私にある資料を見せてくれたことがありました。


 一体何だろう、と思って見てみると・・・・「○○社事業再生に向けての提言」といったタイトルがついています。どうやら、経営が思わしくない会社を立て直すために、事業再生コンサルティング会社が入って調査してまとめたレポートらしいです。


 パラパラとめくってみましたが・・・・正直さっぱり分かりません(笑)

 おいおいおまえもコンサルタントだろうが! なんて突っ込まれそうですけど(汗)、コンサルはコンサルでも私は営業チーム作りが専門なので、会社全体の事業再生のような話はちょっと畑違いなんですよ。


 ただ、わかったことが1つあります。

 それは、少なくとも営業チームの成績向上のためには、その「事業再生レポート」は役に立たないだろうな、ということです。そこは通算50社の営業チームづくりを見てきた私の経験上、断言できることでした。


 いったいどういうことか、というと、たとえばこういうお題目ですね。



■目標:販売体制の改革を進め、120%の売上を達成する


○個別施策

  取引業界の新規開拓と見直し

  売り場作りの提案力強化

  訪問件数の2倍増



 営業改革の欄を見るとこんな項目が並んでますけど、どれも具体性がまったくありません。



 ああ、こりゃ営業やったことのない奴が書いてるな・・・

 思わずつぶやきが口に出てしまったぐらいです。



いやいや、書いてあることはもっともなことですよ、よちろん。

だけど、大事なことはこのレポートには お金がかかっている ということです。



 たとえて言うなら、野球選手が巨額のお金をかけて雇ったコーチに



今シーズンは打率を3分向上させる!

そのためにはヒットを15本多く打つ!

そのためには練習量を倍にする!



以上 じゃあがんばって!



 と言われているようなもんです。

 「あ~、これが世にいう『あるべき論』かあ・・・」と妙な感心をしてしまいました。



 そりゃ「15本多く打つ」と言って打てれば苦労はしませんって。

 たとえば野球の選手だったら、ヒットが打てない原因を探してそこに手を打たなきゃダメですよね。

 選球眼が悪いのか、スイングが遅いのか、投手の配球データがないのか、筋力がないのか、足が遅いのか、等々、打てない原因は千差万別なはずで、それを見きわめて手を打っていかないと「ヒットを15本多く打つ」という目標は達成できません。



 営業だって同じです。「訪問件数の2倍増」と言われて実際2倍訪問して売上増えればいいですが、たいていそんなにうまくはいきません。

 法人営業では契約を取るまでに何度かの訪問が必要です。そこで見込み客リストの中でも「見込み度」の高い会社と低い会社に分けて、それぞれ営業の進捗状況を管理します。





 ここが大事なところなんですが、見込み度の高いAランクの会社が何社あって、Bランクの会社が何社、それぞれ何回訪問している、といった数字を把握することは必要ではありますが、数字だけ見ててもダメなんです。

 もっと大事なのは、その数字が出てくる理由です。

 たとえばある会社をAランクにするのかBランクにするのか、その判断を間違えていたら、見かけ上Aランクが何百社あっても意味ありませんよね。

 その状態でAランクへの訪問件数を増やしても、一社一社が手薄になるだけで、逆に売上が下がることだってあります。

 だから、



  訪問件数の2倍増



 なんて書いても無意味なんです。「ヒットを15本多く打つ」という目標と同じことで、そのために何をやるのかが問われます。



 で、そのために何をやるのか。

 「意味のある訪問件数」を増やして、実際に売上を上げるために何をするのか。



 ここで、ものすごく細かな判断の積み重ねが必要になります。

 この「判断」はアナログ的なもので、デジタルな数字には表せません。

 だから、



数字で目標を示すことは大事だけれど、でも、

数字をそのまま見ていても業績は上がらない



のです。

2013年1月9日水曜日

チームで動く仕組みをつくるのが、わたしの仕事




新年、あけましておめでとうございます。

営業チーム強化コンサルタントの庄司 充です。

本年もおつきあいのほど、よろしくお願いいたします。



お正月の街は、人のストレスが浄化されるのか、1年でいちばん空気が澄んでいるように感じます。

今年は、今日から仕事始めという方も多いようですね。

また一年、盛り上がっていきましょう!



さて,今回は新年ということもあり、自分をふり返る意味もこめて、あらためて自分が「やっている仕事」を整理してみました。


わたしの仕事をひとことで言うと、

「リーダーが怒らなくても 
メンバーが自ら動いて
チーム一丸となって目標を達成する方法」

をお伝えすることです。



・営業マンが思ったように動いてくれない
・新人が育たずにすぐにやめてしまう
・チーム目標がいつも達成できない

そんな悩みを抱えている多くの営業リーダーに

・営業マンがイキイキと動き出して
・新人も即戦力になり
・常に高いチーム目標を達成できる

そんな営業チームをつくる方法をお伝えしています。


しかも、それは営業マンの個人的な力量に依存することはありません。
リーダーしだいで、今のメンバーを変えることなく「最強チーム」に育て上げることができるのです。


どうすれば、そんなことができるのか?


それは、営業を

「個人まかせの営業」から

「チームで動く営業」にシフトすることです。


「チームで動く営業ってどういうこと?」

ほとんどの人がそう思われたことでしょう。
それも無理はありません。


なにしろ、誰もが知っている上場企業から社員数名の中小企業まで、300社以上の営業チームを見てきたわたしの経験のなかでも、9割以上の会社は個人まかせの営業をやっているのですから。


それでは、「個人まかせの営業」と「チームで動く営業」のちがいを説明していきましょう。

まず、「個人まかせの営業」というのは、

・目標を与えて
・やり方は本人にまかせて
・結果について反省する

という方法です。

この場合のリーダーは、結果は把握してもプロセスは把握していないことがほとんどで、営業マンの行動がブラックボックスになってしまいます。

そのため、リーダーからのアドバイスは、

「次は死ぬ気でがんばれ!」

という精神論や

「もっと、お客さまの信頼を勝ち取れ」

といった抽象論に終始することがほとんどで、新人が育たず、売れない人はいつまでも売れないという現象が起こりやすくなります。


一方「チームで動く営業」というのは、

・うまくいった行動のなかから成功要因を見つけ出し
・その成功要因を誰でもできるようにパターン化して
・パターン化した行動を全員で検証しながら、さらに進化させていく

という方法です。

リーダーを中心に

「こういう行動をすると、こんな結果につながる」

という、プロセスと結果の因果関係に注目して検証していくため、精神論より確率論が中心になり、個人の力量に左右されにくく、新人もすぐに戦力として活用することができるのです。


多くのリーダーの悩みは、営業のプロセスを個人まかせにしていることに原因があります。

チームで仮説検証を回す営業スタイルにシフトすることができれば、チームは劇的に変化するのです。



しかし、現状では多くの企業が営業を個人まかせにしたままです。
それは、それでも通用した時代が長く続いたことが原因です。

日本は1950年代の後半から30年以上にわたって右肩上がりの経済成長を続けてきました。

イケイケドンドンだった当時の市場は「買うのが前提」で、極端な言い方をすれば、営業は「行けば売れた」のです。

やり方は個人にまかせていても、熱意と行動量があれば、誰でもある程度の結果を出すことができたのです。

売れてる人はほったらかしで、売れない人にひたすらハッパをかけるのが、この当時の典型的なリーダーの姿です。


しかし、1990年代も後半に入ると時代は大きく変わりはじめます。

経済成長は鈍化し、市場は成熟しました。
成熟した市場は「買わないのが前提」です。

さらに2000年代に入るとネットの急速な普及によって「買い手」と「売り手」の情報量の逆転現象が起こります。


買わないのが前提の市場で、豊富な情報をもった買い手に対して、個人の熱意と行動量に依存した営業スタイルは、もはや通用しません。

それどころか、あせった営業マンが、むやみに売り込みをかけたり、自社商品のメリットばかりを強調して強引に商談を進めてしまえば、市場から総スカンを食ってしまうことでしょう。


成熟した市場においては、チームが情報を共有しながら連動して動く営業スタイルが絶対的に必要なのです。


今、営業リーダーがやるべきことは、営業マンにハッパをかけることではなく、チームで動く営業の指揮をとるノウハウを身につけることです。


リーダーの指揮のとり方によって、チームは見ちがえるように力を発揮します。


チームで動く仕組みをつくるための手間と、指揮をとるノウハウが身につくまでの多少の時間は必要ですが、むずかしいことはひとつもありません。

むしろ、聞けばあたりまえのことばかりです。

しかし、残念ながら個人まかせの営業スタイルで育ってきた多くの営業リーダーたちは、その方法を知りません。

市場に合わない営業方法を、精神論で押しつけてしまっているのが現状です。


そこで、そんな悩める営業リーダーに、チームで動く仕組みをつくり、指揮をとるためのノウハウをお伝えするのがわたしの仕事なのです。