2014年5月12日月曜日

強権型マネジメントをする上司




前号では「リーダーが「ダメな自分」を認められれば活路が開ける」という話をしていました。
リーダーといっても完璧な人間であるはずがないので、間違えること、出来ないことはあります。それはそれで素直に認めることが大事で、そうすればまわりの誰かが助けてくれるものなんです。でも、一番のリーダーである社長にはそれが出来るのに、組織のナンバー2には出来ないことが多いんです。

開米:ナンバー2というのは副社長ということでしょうか。

庄司:何という役職で呼ばれているかはあまり問題ではなくて、要は営業部門で社長の次にえらい人、ということですね。私が関わるのは中小企業なのでこれが副社長だったり営業部長にあたることが多いですが。

開米:なるほど、で、その人が辞めちゃうというのはどういうことなんでしょうか。

庄司:私が営業チーム再生のコンサルに入ってあれこれやっていると、なぜか社長と一般の営業マンはどんどん元気になるのに、ナンバー2がだんだん元気がなくなっていって、最終的には辞めてしまう、というケースがね、どういうわけか、ほんとどういうわけか多いんですよ。すごーく不思議なんですけどね。

開米:なーるほど、つまり庄司さんのせいなんですね(笑)

庄司:ちょっとちょっと、人聞きの悪いこと言わないでください(笑) 私は別に辞めさせようなんて思ってないですよ。今のメンバー全員で成功してほしいんですから。本当に本当です!!

開米:分かってます分かってます。そうですよねえ、それにしてもそんなにナンバー2が辞めるパターンが多いんですか・・・・

庄司:社長も私も、辞めろと言うわけじゃないんですよ。でもね・・・・

開米:でも、でも? なんですか、その意味ありげな言いよどみは!!(笑)
庄司:借り物の権力を振りかざすタイプの人はもともと自信がなくて、それがあからさまになることがいたたまれなくなって辞めちゃうのかなあ・・・・とは思いますね

開米:借り物の権力? というと・・・・?

庄司:たとえば、ある会社、これもわたしのクライアントの会社ですけど、営業部長は社長が外部から引っ張ってきて部長に据えた人でした。営業はこの男に任せよう、と思って、で、任せる以上は自分は口を出さないほうがいい、と思って丸投げしたんだそうです。

開米:任せる以上はあれこれ口を出さない、というのはそれはそれで1つの見識な気はしますが・・・・

庄司:やり方を任せるのはいいんですが、目は離しちゃいけないんです。でもその社長は完全に目を離しちゃった。で、営業チームの売上が上がらない、となると始まるのが強権政治です。

開米:売れるまで帰ってくるんじゃねえ! というタイプのアレですか、ブラック企業によくある・・・・

庄司:そうそう、上司が鬼とならねばナントヤラ、っていう感じのですね。罵詈雑言をかますわけですよ。それが出来るのはその人が営業部長で、上司だからなんですが、でもそのポジションって社長に据えてもらっただけの、いわば借り物なんです。

開米:ああ、そういえば・・・中小企業の営業部長って内部昇格じゃなくてよそから引き抜かれてくること、よくありますね

庄司:よくありますね。で、そういう場合によくあるのが、強権型マネジメントです。個人にノルマを与えて、達成できないと怒る。で、それしかしない。上司という権力でもって部下を締め上げるのが仕事と思っている感じです。

開米:借り物の権力なのに・・・・

庄司:ある意味弱い立場なんですけどね。社長に引っ張ってこられただけで、自分で築いたポジションじゃないですから。

開米:ああ、実は自信が無いとか、不安なんですかね? 自信が無い人間のほうが他人に対して高圧的な態度取ること、よくありますよね。

庄司:そういうところ、あると思います。上司のポジションなんて、ヒラより偉いようでいてその実かえって不安定だったりしますから。不安だからよけいに部下が反抗しないように居丈高に振る舞いたくなるんでしょう。

開米:なるほど・・・で、その人が辞めちゃう、と?

庄司:そう、辞めちゃうんです。

開米:ああ、なんか想像つく気がします。庄司さんがコンサルを始めると、そのナンバー2さんが実はただ怒ってるだけで、営業には全然役に立ってないことがみんなにバレちゃうんでしょう。違いますか?

庄司:おそらくは・・・。

開米:なるほどー。それまで罵詈雑言をかますことで、俺のほうが偉いんだ上なんだと権力維持に腐心していたのが誰の目にもわかっちゃったら、そりゃ辞めたくもなりますわ・・・(笑)

庄司:私としては考え方を変えてくれればそれでいいんですけどね。今まで本当の部長の役割というものを知らなかった、怒ってばかりいて悪かった、と部下に謝って再出発してくれればそれでいいと思うんですけど、社長はそれができるのにナンバー2はできないんです。で、辞めちゃう。

開米:なるほど・・・面白いもんですね。謝ったら負けという感じなのかなあ。

庄司:強権型マネジメントをする人って、上下関係と言いますか、権力で人を動かすことしか知らない気がします。自分に権力がある状態、自分の命令に人が従うという状態を維持することが自己目的化しちゃってて、それがマネジメントだと思ってる感じですね。

開米:そういう権力関係の中での人への接し方しか知らないと、なかなかそこから抜け出せないのかもしれませんね・・・

庄司:チームの再生を実行していく過程で、その変化についていけずにやめてしまう人が出ることはとても残念なことです。しかし、トップがそこまでの覚悟を持って改革を実行すれば、まちがいなくチームは生まれ変わることも事実なのです。

  ★  ★  ★

と、まあこんな感じで、開米さんとの話は終わりました。ここまで

 チーム内でのナレッジの共有は大事だけど・・・

目的をはっきりさせずに指示を出すと・・・・

「社員が自分で考えて動けるように」するリーダーの役割とは

強権型マネジメントをする上司(今号)

と、4号に渡ってお届けしてきたシリーズもひとまず完結です。「ナレッジ共有!」という掛け声を実際に実現するのは意外に難しいこと、それは部下に「やれ!」とうるさく言えばできるようなものではなく、社長・部長といった上司側が考えを改める必要があることがほとんどだということ、ご理解いただけましたでしょうか?

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