2014年8月4日月曜日

(夏休み特別編) ジブリアニメのトトロを見て泣くおっさん



夏休み中、もしくはもうすぐ夏休みという人も多いかと思いますので、今日はこむずかしい話はやめて軽めの話をしましょう。

夏休みになると、テレビでは毎年恒例のように「スタジオジブリ」のアニメ作品を放映します。

わたしは子供がいないので、ことさらジブリの映画を見るということもないのですが、ちょっと気になる作品があります。

それは「となりのトトロ」です。

この作品だけはどういうわけか何度も見る機会があり、しかもそのなかでどうしても泣けてしまう場面があるのです。

「えっ! なんでおっさんがトトロを見て泣くの?」と思われるでしょう。

もっともです。大人はもちろん、子供だって泣くような作品ではないですもんね。

ストーリーについては今さら説明の必要もないと思いますが、ものすごく簡単に言うと、田舎の古い一軒家に引っ越してきたサツキとメイの姉妹が森に棲む「もののけ」のトトロに出会う話です。まじめで優しいお父さんの声を糸井重里が担当していてこれがまたぴったり。お母さんは少し離れた病院に入院しています。

一般的にこの作品の主役として認識されているのは妹のメイでしょう。

4歳のメイはちっちゃな体で走り回りおもしろいものや不思議なものを見つけると「ガッハハハ」と豪快に笑いながら、好奇心を丸出しにして追いかけ回します。

やんちゃで、わがままで、その表情や動きは子供らしい躍動感にあふれていてなんとも愛嬌があります。トトロに最初に出会うのもメイです。

それに比べてサツキはちょっと地味な存在です。
やんちゃなメイをときにはなだめ、ときには叱り、お姉さんらしくしっかり面倒を見ています。
まわりに対しても、自由奔放にふるまうメイとは対照的に「メイをよろしくお願いします。」「メイがご迷惑をおかけしました。」と、小学生とは思えない礼儀正しさで大人たちを感心させます。

メイが出会ったというトトロに「わたしも会いたい!」というときの弾んだ声や、雨のバス停ではじめてトトロに会ったことをお父さんに報告するときのはしゃぎっぷりにはサツキの本来の子供らしさが透けて見えますが、お母さんが帰ってくるまでは自分がメイを守らなければという気持ちが強いのでしょう。

「もうすぐお母さんが帰ってくる、もうすぐお母さんに会える。」

それだけを楽しみに、一生けん命大人として振舞おうとしています。

お母さんの一時退院をあと数日に控えたある日、近所のおばあちゃんのもとに電報が届きます。内容はお母さんの体調が悪くなり一時退院ができなくなった というもの。

わたしが泣けてしまうのはこの場面です。

その報を聞かされたサツキの心を言い知れぬ不安が襲います。

「どうしよう、何かあったんだ・・・」

おばあちゃんの「だあいじょんぶだよお、たいすたことないがらあ」という言葉も耳に入りません。

「どうしよう、お母さんが死んじゃったら・・・」

サツキの表情がみるみる崩れていきます。
口がへの字にまがり顔がくしゃくしゃになり、そして、ついにこらえきれずに「うわあああん」と大きな声で泣き出すのです。

おばあちゃんの胸で泣きじゃくるサツキを見て、それまでの大人びた様子とのあまりのギャップにサツキがいかに無理をしていたかが痛いほど伝わってくるのです。

サツキだってまだ小学生なのです。

その健気さに思わず感情移入しまい何度見てもわたしはこの場面で泣けてしまうのです。

その後、お母さんに会いたくて遠く離れた病院にたったひとりでトウモロコシを持って行こうとしたメイが道に迷い行方不明になってしまい村中が大騒ぎになります。

思い余ったサツキがトトロに助けを求めに行くと、そこには大っきなおなかを上にして寝そべっているトトロがいます。
「メイを探して」と訴えるサツキの顔をじろりと見たトトロは、黙ってニッカアと笑うと、サツキの肩をガッシリと抱いて空に舞い上がり、「モアアアァァァッ」という地響きがするような叫び声をあげてあのネコバスを呼ぶのです。

行先のパネルに「メイ」と表示されたネコバスは、大人には見えない疾風怒濤のスピードで村を縦断し、あっという間にサツキをメイのもとに届けます。

抱き合って再会を喜ぶふたりを乗せたネコバスの行先パネルが、今度はお母さんが入院する「七国山病院」へと変わります。

病院では様子を見に来たお父さんとお母さんが、空のネコバスから見ているサツキとメイには気づかずに、なごやかに話しをしています。

このときの会話がまたグッときます。

お母さん「子供たち、きっと見た目以上に無理をしていると思うの」
お父さん「そうだね。」
お母さん「特にサツキは聞き分けがいいからよけいにかわいそう・・・」

おおおぉぉっ!さすがはお母さん!

わたしはお母さんのこのひとことでものすごく救われた気になるのです。
そして、同時にこの作品の奥深さを感じてしまいます。
そうです、サツキというキャラクターグッズにはなりにくい地味なキャラクターを、宮崎駿監督はもう一人の主役としてしっかり描きこんでいるのです。

もしかすると、多くの人は気にも留めていないようなシーンかもしれないのですが、わたしにとって「となりのトトロ」という作品はこのシーンのためにあるように思えるのです。

なんで自分がこんな気持ちになるのかよくわからないし、そもそもとなりのトトロを見て泣いているおっさんもいかがなものかとは思うのですが、世の中にはサツキのように目立たないけど責任感があって献身的な人がたくさんいるのだと思います。

わたしは「自称アーティスト」や「自称プロサーファー」みたいに、「自分は自由奔放に生きてます。どうです?かっこいいでしょう。」みたいな人たちより、こうした地道でまじめな人たちのほうが好きなのかもしれません。

自分がはたしてまじめかどうかはわかりませんが、少なくともまじめにがんばってる人たちがちゃんと報われる会社や社会であれと願う今日この頃なのでした。

では、みなさん、楽しい夏を過ごしてください。

※作品に関する描写やセリフはわたしの記憶で書いていますので、多少ちがっている部分もあるかと思いますが、ニュアンスが大きくずれていることはないと思いますのでどうかご容赦を。

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